2017/08/07

中国天津・重慶に出張

7/4から7/7まで天津・重慶に行ってきた。天津は羽田から西へ3時間余り、とても近い。到着して、午後から打ち合わせ。翌日、朝の打ち合わせ前にホテルの近くを散歩した。ホテルの前はレストランやカフェがならぶこじんまりした小路、その先は緑の多い広場になっていて、広場に面してギリシャ古典様式のコンサートホールがある。

コンサートホール
まだ朝の7時、早いのでドアは閉まっていたが、公演の案内ポスターが貼ってあった。クラシックコンサート(写真)から伝統音楽(写真)までやっているようだ。




ここ天津出身の高さんによれば、数十年前、ここは映画館だったようだ。この様なしっかりとした建物が映画館とは、多くの芝居小屋が映画館になった日本とは大きく違う。

7/5の午後、重慶に向う。天津からは相当遠い。重慶の印象は霧である。当初PM2.5かと勘違いをした。次の印象は緑が多いことである。温暖で雨が多いからのようだ。そして素晴らしいのは、高層ビルも含めて、屋上庭園がおそらく全ての建物に存在していることだ。
ビルの屋上はほぼ緑化されている
また古い町並みを残していい雰囲気の地区もある。


さらに重慶は大河の長江と嘉陵江(かりょうこう)の合流地点で、しかも盆地のために湿度が多い。この合流地点は30万ドルの夜景と自ら称している。香港には負けるけど、それに近いほどきれいだという意味だそうである。その夜景を見ながら、火鍋を食べるのがここの人たちの楽しみのようだ。




火鍋屋が立ち並ぶ
川沿いにたくさん火鍋屋さんが並んでいる。何でこんなに辛い食べ物を食べるかと言えば、湿度が多いために汗をかきにくいので、辛いのを食べて汗をかいて健康になろうということのようだ。この長江は上海まで何千キロの旅をするのだが、とても水の流れが強い。単なるゆったりとした大河ではなく、水がとうとうと流れる大河だった。重慶の飛行場で、チベット物産の店に鐘が売っていたので、鳴らしてみたら何と唸り音が生じた。

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2017/06/30

ACOUSTIC CONSEQUENCES OF SOUND ABSORBING CEILING REMOVAL IN JAPANESE GYMNASIUMS

Due to recently changes in Japanese seismic standards, the modification of existing ceiling structures in large spaces (e.g. gymnasiums) for the prevention of possible falls have become one of the primary targets.

In most of the cases, the removal of the sound absorbing suspended ceiling for the seismic retrofitting  affects directly to the acoustic characteristics of the space, creating the increase of the reverberation time and the appearing of the unpleasant flutter echo (e.g. specially when ball-bouncing a basketball ball in gymnasiums). 

In this study, spaces (30x35x15 m) with different ceiling shapes have been acoustically simulated to better understand the issues that YAB Corporation has to face when quality acoustic conditions become an added priority during their renovation. 

Impulse responses and ray tracing simulations show a significant flutter echo in the space with dome shape ceiling that can remind the existing flutter echo of the “whining dragon” of Toshogu shrine in Nikko.

Here, an interesting report about the whining dragon of Toshogu shrine "The Fluttering Echoes or Whining Dragon" by Sumio Yoshizawa. Published in the ICPE2006 (The International Conference of Engineering Physics 2006 in Tokyo).






Ray tracing simulation:

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Auralizations:


Dry source: Recitation of Kazuhisa Takahashi  無響室録音:朗読 高橋和久

Impulse Responses


2017/06/29

都市の中の心地よい音 その2 人工的な音

以前、弊社の事務所は横浜市関内の尾上町通りに面したところにあり、それに連なって市役所や横浜球場があるために、野球のあるときは応援の声が賑やかで、地響きのように聞こえるときもあった。野球が終わると飲み屋は一杯になる。1998年にベイスターズが優勝した時には眼の前の道路でパレードが行われ、事務所のバルコニーから『浜の大魔神』に手を振った。また開港祭のときには日本大通りで吹奏楽のパレードがある。市役所が近いために、時にはデモ行進や街宣車も来る。また港があるので船の汽笛の音も聞こえる。これらは横浜の都市の音として記憶している。

先月、「都市の中の心地よい音」というブログで、トレヴァー・コックス(Trevor Cox)著の「世界の不思議な音」(英文題「The Sound Book The Science of the Sonic Wonders of the World 」)をご紹介した。

この中の「音のある風景」の章で、都市の象徴的な音「サウンドマーク」は「ランドマークと同じく多様性に富む」とし、カナダのバンクーバーの汽笛、シリアの水車のうなり、アメリカ南西部ではアムトラックの警笛、そしてロンドンを代表する音として国会議事堂の時計台にあるビッグベンの音をこのように紹介している。
「ビッグベンは新年を迎えるときに鳴らされ、何十年もニュース番組の冒頭で流され続け、休戦記念日(アメリカでは「復員軍人の日」と呼ばれる)には二分間の黙祷の開始を告げるのにも使われる。」
と、非常に日常に浸透した音であることがわかる。
「大鐘が鳴る前に、鐘楼の四隅にある四つの鐘が有名な「ウエストミンスター・チャイム」を奏でる。」
それに続きビッグベンの大鐘が10回ならされるそうだ。少し、この鐘の音について内容をご紹介する。
「まず金属がぶつかりあうカーンという音がして、それが次第に弱まるにつれ朗々と響く音になり、二〇秒ほど続く。最初のハンマー音の打撃から生じる音は高周波成分が多いが、それはすぐ消滅し、もっと穏やかな低周波数の響きが残ってゆったりとした震音を発する」。
この震音とは二つのわずかに異なる周波数が重なると発生する唸りのことで日本の鐘にもある現象である。
「鐘の場合は対称性によって、というか正確には対称性の欠如によって、震音が生じる。完璧な円形でない場合、鐘はうなりを生じる二つの近接した周波数をもつ音を出す。教会の鐘を新たに鋳造するときには、西洋の鋳造所ではそのような震音は避けたいと考えるのは普通だろう。ところが韓国では、この効果は音の質を決定する大事な要素とみなされている。西暦771年に鋳造された聖徳大王神鐘は、「エミレの鐘」という呼び名の方がよく知られている。この鐘を鳴らすと「エミレ」(お母さん)と子供が泣き叫ぶような音がすると言われている。言い伝えによると、鐘の音を響かせるために鋳造師が自らの娘を人身供養としてささげさせられたという。 ビッグベンが明瞭な唸りを発するのは、いくつかの傷のせいで二つの周波数が生じるからであり、傷の一つははっきりと見て取れる。
『参考文献:S.-H.Kima, C.-W.Lee, and J.-M,Lee “Beat Charcteristics and Beat Maps of the King Seong-deok Divine Bell” Journal of Sound and Vibration 281 (2005):21-44』
私は30年ほど前に、数カ月ウイーンで生活したが、昼と夕方など、定時に近くのセント・エリザベス教会の鐘が鳴るのを毎日聞いた。その鐘の音は、日本の鐘の様には唸ることはなく、「ガーンガーン」と、まるで私はここにいるから来なさいと言っている感じで鳴る。しかし、ビッグベンの音は日本の鐘の様に唸るのだ。ビッグベンの鐘の音を、ロンドンの人はどのように聞いて感じているのだろうか。

韓国の鐘は聞いたことがないが、きっと日本の寺の鐘と同じように唸りがあるのだろう。私にはお寺の鐘の音は、仏壇の鈴(りん)と同じように、唸ることで願が天に伝わるような気がする。また別の本であるが、笹本正治著「中世の音・近世の音 鐘の音の結ぶ世界」には、鐘の音は「この世とあの世を結ぶものとして意識されている」との記述がある。

かつて特に中世では、寺の鐘は昼と夜の境を知らせる身近な関係にあったと思われる。
しかし今や日本の都市の中でお寺の鐘の音は騒音にかき消されてしまって、あまり象徴的な意味が少なくなっていると思われる。祭りのお囃子やお神輿の声でさえも、身近な音ではなく単なる騒音として感じられるようになっている可能性がある(祭りの音にクレームが出ることもある)。音楽はコンサートホールの中にのみ存在できる状態がある。

歌舞伎に「夏祭浪花鑑」という話がある。主人公が訳あって人をけがさせ刑務所に入り、出所してやっと故郷に戻ってきたばかり。夏祭りの音が生き生きと聞こえる。しかしその後、人を助けるために格闘の末に、また悪人をあやめてしまう。人生が思い通りにならないやる瀬なさのなか逃亡しようとし、ふと気がつくと、今度はお祭りのお囃子の音がしだいに遠のいて聞こえている、という表現がなされる。これは、お祭りが人々に身近な時代の物語である。

一方で、お囃子を復活させようという動きもあり、今、我町も毎週1回、近所の集会所でお囃子の練習が行われている。地元で身近な音になるといいと思う。

2017/05/19

都市の中の心地よい音

春になり、小鳥の声がよく聞こえるようになった。緑の多い静かな住宅街にある我が事務所の周りでは、まず目立つのが鶯であるが、身近なスズメやキジバト、ヒヨドリ、シジュウカラなどがにぎやかである。目の前には公園があって、夕方には学校から帰ってきた子供たちの声が聞こえるのも何とも平和な気がする。

先日、雨の日に青葉区寺家町のふるさと村に行ったら、田んぼの横の用水路にアマガエルがケロケロ大きな声で鳴いていて、久しぶりに聞いたアマガエルの声に嬉しくなった。このふるさと村は、横浜市の中で里山をわずかに残している場所で、気分転換によく行く場所である。

トレヴァー・コックス(Trevor Cox)著の「世界の不思議な音」(英文題は「The Sound Book The Science of the Sonic Wonders of the World 」)を読んだ。

「世界で一番静かな場所」という章で、イングランド田園地帯保護協会(CPRE)の調査では、静穏が得られればストレスが軽減することが証明されているとあり、静穏感をもたらす三大要素は、「自然の風景を眺めること」、「鳥の鳴き声を聞くこと」、「星を見ること」だそうだ。

それに続いて、「都市で大事なのは絶対的な音の大きさではなく、相対的な静けさだと。田舎と同様、人為的な音は抑えるべきであるが、完全に聞こえなくする必要はない。自然の音が大きくなれば街の静穏度が高くなると研究で判明しているので、鳥の鳴き声や葉のざわめき、水の流れる音などを積極的に取り入れるべきである」とある。

交通騒音や工場騒音などの騒音は低減する必要があるが、そういった喧噪のなかでも、自然の音が聞こえてくることが重要な役割があるとわかる。また、都市の人工的な音の中でも、お寺の鐘の音などは一つの文化的なものの象徴として存在していて、心地よい音と感じるものである。上記の本の中でも、都市の象徴的な音「サウンドマーク」(例えばロンドンのビッグベンの鐘の音)が人にもたらす影響について書かれているが、それはまた別の機会に書こうと思う。

2017/05/17

Restoration of the acoustic characteristics of Tsurukawa Playhouse in Kawagoe: (I) Application of 3D laser scan data to acoustic simulation

以下、今年の9月の建築学会大会にて発表予定の論文を英語で説明したものです。

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AIJ 2017 Title

RESTORATION OF THE ACOUSTIC CHARACTERISTICS OF TSURUKAWA PLAYHOUSE IN KAWAGOE: (I) APPLICATION OF 3D LASER SCAN DATA TO ACOUSTIC SIMULATION

Authors:
Antonio Sanchez-Parejo  (YAB Corporation)
Yu Morishita ( Institute of Industrial Science, The University of Tokyo )
Mitsuru Yabushita (YAB Corporation)
Clemens Büttner (Audio Communication Group, Institute of Technology Berlin)

Tsurukawa playhouse is located in Kawagoe city in the central Kanto region of Japan. The wooden building built in 1907 is presumed to be the only playhouse remaining in the metropolitan area. The wooden wheels embedded in the circular stage still remain, as well as the brick passage under the “hanamichi” (the walkway that extends from the stage to the audience seats) that connects the “naraku” (area under the stage) with the “toyaguchi” (the entrance connected at the back of the audience seats, used for actors). During Taisho era, the playhouse was used to entertain with the screening of photographs after World War I and later, and until 2000, it became a movie theatre.

The necessity of its restoration and reuse, has provided us with the opportunity to apply for the first time measuring methods with 3D laser scanning for the study of the acoustic characteristics of a historical space such as this one.

Exterior view of Tsurukawa playhouse in Taisho era

3D laser scanner 
The purpose of 3D laser scanning is to create point clouds (three dimensional positions) of geometric spaces. For most situations, a single scan will not produce a complete model of the building. For Tsurukawa playhouse multiple scans, as shown in the picture below, were required to obtain information about all surfaces of the building.
3D laser scan and acoustic measurement position

3D point cloud data 
 Although different software for the conversion of point cloud into 3D CAD can be used, the big size of scan files (13.6 GB in case of Tsurukawa playhouse) and the lack of precision that requires manual fixes, made most of this software very inefficient. In our case, the use of section slices from 3D scan data was selected, a simpler and less time-consuming method for the acquisition of geometry for the room acoustic simulation. This method allowed an exact representation of the historical room which allowed capturing the damaged ceiling of Tsurukawa playhouse, helping to improve the effectivity and performance of the acoustic restoration. Moreover, the damaged ceiling of Tsurugawaza was captured by the 3D scan, helping to increase the effectivity of the acoustic restoration.


3D scan point cloud sections of Tsurukawa playhouse

AutoCAD geometry from section slices

Geometry imported in CATT Acoustic software for acoustic simulation.

Results obtained from acoustic simulations were compared with current acoustic characteristics. Both impulse response of measurements and CATT Acoustic simulation results had similar waveforms. Showing similar shape, RASTI values between 0.53 to 0.60 (Fair) obtained in CATT simulation were lower than the ones obtained in actual measurements ranging from 0.58 to 0.70 (Fair /Good), background noise settings on the simulation could have affected the achievement of the values for the simulation. The room behaved as a non-mixing geometry/shape in the simulation (standing waves due to parallel walls reflection), so the reverberation time became a bit longer for CATT simulation (1.54s) than Eyring (CATT simulation) and actual measurements results, in both cases, was 0.9s.
Impulse responses. Actual measurement, CATT-Acoustic simulation

RASTI


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Time Trace video simulation


Special thanks to Kawagoe Kura No Kai and Wooden Playhouses Study Group. 

測定に際し、川越蔵の会および木造劇場研究会の皆様にご協力をいただきました。記して感謝いたします。

2017/05/16

固体伝搬音の音源探査 -主に集合住宅の場合-

 前回は工場の機械など大型機械の騒音対策について記述した。今回は、集合住宅等の騒音調査・対策について少しご紹介したい。

【音源が不明な場合】
 集合住宅等の騒音対策の場合、音源が不明で、その探査から行うという依頼も多い。音源が目の前にある場合は対策も立てやすい(音源が複数ある場合も同様である)が、音源の位置が不明で、さらに固体伝搬音の場合には、部屋の中で聞こえる騒音は部屋全体の壁から聞こえてくるために、建物の中の何が音源であるのか見つけることが難しくなる。

 空気伝搬音であれば、音源が見えない場所にあっても、先行音効果(Cremer)の影響があるために音の方向性があり、また距離によって減衰があるが、固体伝搬音の場合には伝搬速度も固体中では早く、建物全体に伝搬して、しかも距離減衰が小さく、部屋全体から聞こえるために、音の方向感が無くなってしまう。

【騒音が定常音の場合】
 さらに固体伝搬音の場合でも、騒音が定常音の場合には、常時その騒音が存在しているため、測定をして周波数分析を行えばかなり音源が特定できる。
 例えば、電源トランスなどでは通常50Hzや100Hzが卓越するために、騒音計で計測するだけで音源の推測がつく。また給水音などはポンプの起動する音が変動するためわかりやすい。

【騒音が衝撃音の場合】
 問題は音源がわからない場合の「ドンドン」とか「コツン」「パキッ」などの衝撃音である。いつ発生するかわかりにくく、発生時間もバラバラであれば場合によって測定も長時間、数日に渡って行う。長時間待機していても鳴らない場合もあり、音源探査が難しい。

【騒音発生時間からの推測】
 衝撃音で、音源がわからない場合、まずは発生時刻とその音の様子などを、しばらくメモをとって記録する(または住民の方に記録していただく)ことを行う。
 一見バラバラの時間に発生するように思えても、たとえばサッシの熱ひずみによる衝撃音や天井の軽鉄下地から出る衝撃音などは、太陽が当たり始めた頃や、また日が沈む頃に再び発生することが多い。また、夕方から夜にかけて発生する騒音は、お風呂の排水管の熱膨張などのこともある。
 天井下地の熱ひずみで発生する音の場合には、上階の床衝撃音と間違えやすいため近隣トラブルなどの問題となりやすい。音源の予測がまず第一である。

【振動を測定する】
 騒音計で方向性がわからない場合、方向性の予測に振動を計測することもある。加速度振動ピックアップなどを室内数か所に設置、同時に計測して、加速度の振幅や到達時間などを見て音源探査をする。

【集合住宅等の固体伝搬音の対策】
 固体伝搬音の場合も、発生源を見つけられれば、簡単に対策ができる場合もある。高層階の手すりなどの風切り音は、手すりの形状を変更する必要がある場合がある。ファン類、電源トランスなど、設備から発生する固体伝搬音は前回のブログで述べた防振基礎でほとんど解決する。
 対策が困難なものもある。上階の床衝撃音(子供の走り回る音やゴルフの練習)などは人為的なため、解決には住民同士の関係性なども大きな要素となる。床衝撃音もなかなか対策が困難な固体伝搬音である。

その他異音の原因であったもの

  • 高層住宅のサッシは風圧力に耐えるためにアルミと鋼材を組み合わせたフレームを使うことが多いが、熱膨張率の違いで、温度ひずみが生じて異音を出すことがある。
  • 特にカーテンウオールでは、スラブに固定するファスナーの形状で、ひずみを生じて異音が発生する場合もある。
  • 屋上の携帯電話のアンテナの冷却ファンの振動が、防振の不良で下階の部屋に伝搬していたことがある。