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2017/04/25

喜多流大島能楽堂の見学

 広島県福山市の学校の体育館で、グラスウール天井撤去後の残響時間の測定を行う機会がありました。

 測定後、ご紹介いただいた設計事務所に併設されているお茶室でお抹茶をいただきました。目の前に福山城が見える素晴らしい茶室でした。その際に設計事務所の方から近くの能楽堂をご紹介いただき、翌朝9時に見学の予約をして行ってみることになりました。

茶室からの景色 目の前が福山城

能楽堂までの道の途中
 福山駅前から商店街を通り、歩いて約10分程度で、目的地の喜多流大島能楽堂です。4代目の大島 政允(おおしま まさのぶ)氏の奥様に施設の案内をしていただきました。大島家は福山藩の藩士でしたが、明治維新後、独立して能の普及につとめられたそうです。

 現在ある能楽堂はRC4F建て、1Fには能に関する展示室、3F~4Fは能舞台および楽屋となっています。能舞台は二方向自然の光が入る空間で、本来の屋外にあった能舞台を感じさせてくれます。能舞台の桧板は竣工当時(昭和46年)毎朝、糠で磨いたそうで、いまだにピカピカです。300席ほどありますが、舞台を囲んでいるために舞台が間近で親密感があります。これが本来の劇場のあるべき姿の様な気もします。
 楽屋には娘道成寺に使われた鐘が置かれていました。鉄のフレームを布で覆ったもので、非常に重いものでした。

能楽堂内
自然光が入る明るいです
足袋をお借りして舞台を歩いてみました


 1階の展示室でお抹茶をご馳走になりながら、いろいろお話を伺いました。海外公演も行われることがあり、また外国からのお客さんもたくさんいらっしゃるようです。「国から一銭も援助をもらっていません」という言葉が印象に残りました。気づくと2時間半ほどもお邪魔してしまいました。

 福山は文化に対する強い気概が定着しているような印象を受けました。朝、商店街を歩いた時も、景色がすっきりとして見え、そこに電柱が無いことに気づきました。道を掃除している人に、思わず「きれいですね」と声をかけてしまいました。地方に多いシャッター街ではなく、元気な商店街でした。珍しい和楽器店(柴田楽器店)もあり、中を覗くと箏三味線のほかに篠笛もあります。実は前日の体育館の音響測定用に持ってきた篠笛を、測定後に紛失してしまいました。朝は閉まっていたので帰りがけに寄って、記念に買って帰りました。広島県福山市はお琴の生産も日本一という土地柄だそうです。

電柱がなくすっきりしています

和楽器屋さんのショーウィンドウ
能楽堂で思いがけず長居してしまったため、行きたいと思っていた鞆の浦には行けずじまいでした。また次の機会に行ってみたいと思います。